様々なガンの中でも、特に厄介と言われるのが、脳に発生するガンです。
脳のガンは、脳腫瘍の中でも悪性のもので、脳ガンなどという呼び方はせず、悪性脳腫瘍という表記がなされます。
そして、この悪性脳腫瘍の場合、手術でも根治は難しく、いかに余命を長くするかという事が治療の焦点となります。
つまり、脳のガンは非常に厳しい病気という事です。
抗がん剤の投与に関しても、脳腫瘍の場合は困難とされてきました。
脳の中には血液脳関門という血管壁があり、これは通常の抗がん剤では透過できませんでした。
その為、副作用等以前の問題で、抗がん剤治療が不可能だったのです。
しかし近年、この状況は一変しました。
ニムスチンやラニムスチンといった、非常に分子量が小さい抗がん剤の場合は血液脳関門を透過するという事が判明したので、これらの抗がん剤が有効であると認められたのです。
脳腫瘍の抗がん剤治療では、主にこの2つの薬が第一選択となります。
また、テモゾロミドという抗がん剤も使用される事があります。
この抗がん剤は副作用が非常に少ない薬なので、上記の薬だと副作用が強くて難しいという場合に選択されます。
脳のガンというと、多くの人が絶望的な印象を受けるかと思います。
実際、体内のガンが転移するケースにおいて、最悪の部位と言われているのが脳です。
上記の抗がん剤でも、悪性脳腫瘍を根治させるのは困難で、基本的には延命措置としての一つの方法となっています。
ただ、これらの薬によってクオリティ・オブ・ライフ(QOL:患者が過ごす日々の生活の質)が改善される事は確かで、それも一つの治療方法と言えるのです。
血のガンとして非常に有名な白血病ですが、当然ながら外科手術によって腫瘍を除去するという事はできませんので、抗がん剤による化学療法が一般的な治療方法となります。
白血病は様々な種類があり、大きく分けると骨髄性とリンパ性に分かれ、それからさらに急性、慢性に分かれます。
骨髄性の白血病においては、どの分類においても抗がん剤が大きな効果を発揮する為、ファーストチョイスは抗がん剤治療であるケースが多いようです。
また、リンパ性においても抗がん剤治療を選択する事が多いとされています。
使用する抗がん剤は、白血病の種類によって異なります。
当然、それによって発生する副作用もそれぞれに異なってきます。
急性骨髄性白血病の場合はイダルビシンとシタラビン、もしくはダウノルビシンとシタラビン組み合わせが一般的です。
急性リンパ性白血病の場合は、ビンクリスチンとプレドニゾロンを組み合わせた「VP療法」に、ダウノルビシンもしくはドキソルビシンを散在させ、L-アスパラキナーゼやシクロホスファミドを加えるのが一般的です。
かなり多くの種類の抗がん剤を組み合わせるので、副作用はどうしても多く出てしまいますが、その効果はかなり大きいとされています。
慢性白血病の場合は、イマチニブという分子標的薬の使用が多く見られます。
慢性白血病は長期入院はせず、日常生活を送る中で薬を飲むという治療方法が一般的なので、イマチニブのような経口投与できる薬の有効性が高くなります。
医学の発展に伴い、ガンの治療方法は劇的に変化してきています。
それは抗がん剤治療にも顕著に現れており、これまで全く効果がなかったガンに対して有効な抗がん剤が見つかったり、副作用によって使用が難しかった抗がん剤でも、別の抗がん剤と上手く組み合わせる事で副作用を抑え、使用可能となったりする例がたくさん存在しています。
その恩恵によって、抗がん剤治療が可能となったのが、前立腺がんです。
元々、前立腺がんは抗がん剤治療が効果を発揮しないガンとして知られていました。
その為、手術による治療や放射線治療が一般的で、男性ホルモンを低下させ増殖を抑える内分泌療法と組み合わせるなどして治癒を目指していました。
また、エストロゲン剤とナイトロジェンマスタードを組み合わせたエストラムスチン等の抗がん剤を使って増殖を防ぐ方法も採られましたが、やはり前述の通り効果はほとんど期待できませんでした。
そんな中、近年において前立腺がんに有効な抗がん剤が発見されました。
それは、ドセタキセルです。
このドセタキセルと他の抗がん剤を組み合わせたところ、前立腺がん患者の6割に効果が発揮されたのです。
特に有効と判断されたのは、年齢や状態に関わらずある程度の効果が発揮された点です。
これによって、前立腺がんは抗がん剤治療も有効であると認められました。
ドセタキセルの副作用は、むくみや下痢、吐き気、発疹、脱毛等です。
一般的な抗がん剤の副作用と考えて差し支えありませんが、むくみが特に顕著のようです。
乳がんは、なかなか早期発見ができないガンとして有名です。
やはり、他の部位と違い、健康診断の際に偶然発見されるという事がない部位だけに、仕方のない部分もあります。
ただ、近年では乳がんの危険性を訴える声も多くなっており、特に有名人が中心となって呼びかけている事から、乳がんの検査を行う人が増えてきているようです。
乳がんは、女性がなるガンというイメージがあまりに強いですが、実はわずかながら男性の患者も存在しています。
その為、女性だけのガンというわけではありません。
男性でも、乳部に異変があった場合は検査を行う必要があります。
乳がんの治療方法は、摘出や切除といった外科手術が一般的で、抗がん剤の投与は手術で除去できなかった小さいガン細胞を殺す事を目的としたケースが一般的です。
いわゆる補助療法といわれるものです。
補助療法の持つ役割は非常に大きく、これを行うかどうかで再発率が20%以上違う事もあります。
抗がん剤投与の量も最小限で済むので、副作用もあまり出ません。
近年では、手術の後ではなく前に抗がん剤を投与し、病巣を小さくして手術を行うケースもあります。
これは「新補助療法」と言われる方法です。
新補助療法のメリットは、体力のあるうちに副作用に耐える事ができる点や、手術の際に摘出するガン細胞が少なくて済む為、メスを入れる範囲が小さくなるという点が挙げられます。
その為、リスクを抑えられる他、乳房の温存も期待できます。
主に使用する抗がん剤は、フルオロウラシル、シクロホスファミド、メトトレキサートを組み合わせた「CMF療法」、メトトレキサートの代わりにドキソルビシンを使用した「CAF療法」等です。
ガンの中には、抗がん剤ではほとんど完治が不可能というものもいくつかあります。
その中のひとつが、腎臓がんです。
抗がん剤による副作用を心配しなくて良い一方、治療の選択肢が狭まる事になります。
腎臓がんは、基本的に男性の発症が多い病気です。
特に50〜60代が多い一方で、若年層が発症するケースも増えてきています。
主な発症原因としては、喫煙や金属加工や塗装工作の過程で発生する化学物質の吸引が挙げられています。
腎臓の性質上、老廃物、有害物質といったものが体内に入り込む事が大きなリスクになるようです。
また、人工透析を行っている人も、腎臓がんになる危険性をはらんでいると言われています。
腎臓がんの場合、手術による外科的除去が一般的な治療方法となります。
抗がん剤では前述の通り完治させる事は困難なので、主に転移した場合などに使用されます。
腎臓がんはリンパ節や肺に転移する事が多いですが、そういったケースではインターフェロン・αが使用されるようです。
また、近年ではソラフェニブ、スニチニブといった新しい抗がん剤も使用されています。
これらの薬は使用されてまだ時間が経ってない為、副作用の症状が固定されていない点が今後の課題となっています。
腎臓がんは、腫瘍ができる位置によって大きく生存率が変わってきます。
また、腫瘍の位置によっては腎臓そのものを摘出するケースもあります。
腎臓は二つあるので、一つなくなっても機能する事から、摘出手術の頻度は比較的高いようです。
大腸がんは、現在数あるガンの中でもトップクラスの死亡数を記録する非常に厄介なガンです。
主な要因は飲酒、肥満で、喫煙も要因の一つと言われています。
特に年齢が上がるにつれて大腸がんとなるリスクは増加し、55歳以上の人には危険性の高いガンとなっています。
副作用に関しても、年齢の上昇に従い、体力的な問題もあって厳しくなっていく事から、リスクは上がっていきます。
また、同時に手術で治癒しやすいガンと言われています。
早期発見の場合はかなりの確率で完治できるので、手術による切除が一般的ですが、手術が難しい位置に腫瘍ができた場合は抗がん剤治療となります。
ただし、ガンの中では抗がん剤が威力を発揮しにくい部類とも言われています。
そんな大腸がんの抗がん剤治療ですが、ここ最近では新たな組み合わせの抗がん剤によって飛躍的に成果が上がった例も存在しています。
元々はフルオロウラシルとレボホリナートカルシウムを組み合わせた、「5-FU/l-LV」療法が一般的でした。
しかし近年においては、この組み合わせに加えてオキサリプラチン、もしくはイリノテカンを追加するケースが増えています。
また、ベバシズマブを使用するケースも増えています。
ベバシズマブは、再発や進行度合いの厳しい場合に使われる一方、高額である事や副作用が非常に強い事が問題視されています。
これらの他にもいくつかの抗がん剤が試験されており、現在においては研究段階の状態ですが、近い将来劇的に進歩する可能性はあります。
下痢や便秘など、抗がん剤治療の副作用の中には、お腹に変調をきたすケースがいくつか見受けられます。
便秘は特定の薬のみであまり多く見られる症状ではありませんが、下痢は結構頻繁に発症します。
また、副作用による下痢では、腸管内の粘膜が抗がん剤によって損傷した場合と、副交感神経に刺激が与えられて起こる場合とがあります。
神経への刺激による下痢ならばそれほど問題ではなく、回復も早いのですが、粘膜が損傷した場合は厄介です。
通常、大腸は粘膜がバリアの役割を果たす事で、様々な刺激から身体を守っている状態です。
その為、粘膜の機能が著しく低下していると、頻繁に下痢の症状が起こります。
また、この状態だと細菌が体内へ侵入する可能性も上がります。
白血球減少の原因にもなる為、感染症を引き起こす事も多くなるなど、下痢の症状に留まらず、様々な問題を抱えてしまう事に繋がるのです。
よって、下痢の症状が出た場合は、抗がん剤治療は一旦中止し、原因の追究を行う事になります。
粘膜障害による下痢だった場合は、その粘膜の回復を待つ事になります。
消化しやすく、刺激を与えにくい食事に切り替え、残渣物の多い食物繊維をあまり含まない食材等を用いた食事を行い、回復を図ります。
この状態で摂取すべき食品は、カリウムを多く含んだ物や、温かい飲み物、スポーツドリンクなどです。
また、下痢が起こった場合の対処法としては、腹部を温める為に湯たんぽやカイロを使って保温を試みるのが一般的です。
このあたりは、抗がん剤の副作用の場合も通常の下痢の場合もあまり変わりはありません。
一番辛い抗がん剤の副作用としてよく挙げられる症状が、吐き気です。
実際、抗がん剤を投与された多くの人がこの症状を経験しているようです。
吐き気は誰もが経験した事のある厄介な症状で、これによって抗がん剤の投与を止めたいと懇願する患者も多いと言われています。
抗がん剤の副作用として起こる吐き気は、急性のものと遅延性のもの、そして精神的なものの3つに分かれます。
急性のものは、抗がん剤投与から24時間以内に発症します。
抗がん剤による吐き気はかなり強い症状が出る為、精神的なものと区別はつきやすいですが、抗がん剤の副作用と精神的なストレス等の複合で発生する事も多い為にかなり複雑になっており、治癒させるのに苦労するケースが目立ちます。
対処法としては、食事面を改善する方法が挙げられます。
抗がん剤治療を行う前日には消化が良い物を摂るようにして、脂肪分が少ない食事、味や匂いの強い食べ物をできるだけ避けるようにしておきましょう。
また、抗がん剤治療の副作用の場合、お粥でも匂いが強いと感じて吐き気がしてしまう事もあるので、パン等の方が良い事もあります。
嘔吐した場合の対処法としては、冷水を使って口をゆすぐのが一般的です。
そして、嘔吐によって水分やミネラルが大きく失われるので、スポーツドリンクでその分を補給すると良いとされています。
吐き気は精神面によって症状が大きく変わるので、リラックスした環境を作るのも改善方法となります。
音楽を聴いたり、自分の好きな事をしたりして、落ち着いた環境で闘病生活を送ると良いでしょう。
様々な体調不良を引き起こす抗がん剤の副作用ですが、その中の一つに口内炎の発生という症状もあります。
口内炎というと、完全な原因の特定こそ難しいものの、疲労やビタミン不足等によって体内の免疫力が低下し、それによって口腔内に炎症が発生し、一部がただれてしまうというもので、割と多くの人が経験のある病気かと思います。
基本的に、日常の中で発症する口内炎に関しては、深刻にならずとも数日で治癒します。
その為、抗がん剤の副作用としては、一見軽いもののように思われがちです。
しかし、実際にはこの口内炎はかなりキツい副作用です。
抗がん剤で発生する口内炎は数が非常に多く、また投与中はずっと発症し続ける為、食事はもちろん、口を開けるだけでも激痛を伴うという状況になってしまいます。
常温の飲み物でもほとんど摂れなくなるくらいひどい口内炎が発症してしまうのです。
その為、食事が満足に摂れず、結果ガン治療に最も必要な栄養補給がままならなくなる他、精神的にも大きなストレスを抱える事になります。
そういった事もあって、口内炎によって抗がん剤治療を一時中断するケースも少なくないくらいです。
決して軽度の副作用ではありません。
対処法としては、歯磨きやうがいなどで口内を清潔に保ち、ビタミン補給と疲労回復をしっかりと行う事です。
ただし、ブラシで口の中を傷つけないよう、ゆっくりブラッシングするようにしましょう。
また、口内の乾燥を極力防ぐ為、水分の補給を定期的に行い、唇をリップクリームなどで潤しておくと良いとされています。
副作用は、抗がん剤とは切っても切れない関係にあります。
そして、そんな副作用の中でも特に多く見受けられるのが、倦怠感です。
身体的な問題、精神的な問題の両方から来るこの倦怠感は、一見数ある副作用の中にあっては軽度なもののように思われますが、実は非常に厄介な症状の一つです。
倦怠感は、抗がん剤の投与から数日の間に起こる症状です。
他の副作用と比べると、発症が早い方と言えます。
主な症状としては、疲労感、けだるさ、集中力の低下、めまい等といったものです。
ひどくやる気が出ない状態で、何に対しても積極的になれない状況となるので、長引くようだと抑うつ状態となってしまいます。
抗がん剤によって起こる倦怠感は、抗がん剤の投与期間や回数が積み重なれば重なるほど症状も重くなります。
そして最も厄介なのは、この症状が抗がん剤の副作用だと気付かない人が多いという点です。
副作用というと、吐き気や貧血、あるいは脱毛や口内炎などのわかりやすい症状というイメージが強く、倦怠感のような日常生活の中でも頻繁に起こり得る症状の場合は軽視され、気付かれないケースが多いのです。
抗がん剤ではなく、自分の体調の問題だと自分でジャッジしてしまうのです。
ただ、単なる体調の問題ではなく、非常に長引く事が多い為、結果的には精神的に参ってしまう事になり、深刻な状況を生んでしまう事もあるので、軽視するわけにはいきません。
倦怠感を覚えた場合、対処法としては栄養価の高く消化しやすい食事を摂る事が薦められています。
また、水分補給も必須です。
できれば温泉などで全身を温めたり、マッサージを受けたりして血液、リンパ液の循環をよくする事が望まれます。
抗がん剤治療中によく発生する副作用の一つに、貧血が挙げられます。
これは、抗がん剤が血液細胞を形成する骨髄にまで影響を与えるためです。
骨髄が変調を起こすと、その内部で作成されている赤血球、白血球、血小板といった血となる材料が減っていきます。
そうなれば当然、貧血になります。
血というものは、体内に酸素をはじめあらゆるエネルギーを送るという非常に重要な役割を担っています。
よって、血液の量が減少すると、酸素や栄養が体内へ十分に行き渡らなくなります。
そうなると、めまいが起きたり、力が入らなくなったり、具合が悪くなったりします。
貧血というと、健常体の人でもたまに起こすなんという事もない症状のように思えますが、ガン患者のように元々体力が著しく低下した状態において発生すると、とても厄介です。
抗がん剤を投与した直後には、貧血は起こりません。
複数の投与で徐々に骨髄が変調し、その積み重ねで発生する副作用となっています。
症状の重さには個人差があり、軽症で済む場合は唇やまぶたの裏の血色が悪くなる程度で済みます。
また、症状自体が出ないケースも少なくありません。
ただ、重い症状になると、めまいや倦怠感のみならず、息切れ、動悸、耳鳴り、場合によっては心不全を起こす事もあります。
さらに、最も症状が重くなると、昏睡状態になってしまう事があります。
そうなると、生命の危機です。
血液の量は、それだけ体内に大きな影響を与えるという事です。
抗がん剤を使ってガン治療を行う場合の副作用として最も多くの人が持っている印象は、どんな症状でしょう。
インパクトという意味では、やはり脱毛が一番大きいのではないでしょうか。
抗がん剤を使用した人の毛髪が抜けるという事は、様々な創作物でも描かれているので、ガン治療をしている人と面識がない人でも、この副作用に関しては知っているというケースが多いことでしょう。
実際、それまでガンである事を隠していても、脱毛によってそれが明るみに出るというケースはよくあります。
この副作用は、抗がん剤が髪の毛の根本部分の毛母細胞にダメージを与える事で発生します。
毛髪だけではなく、眉毛やまつ毛が抜けるケースもあります。
ガン患者の中には、体中のあらゆる毛が抜けてしまった人もいるでしょう。
抗がん剤による脱毛の副作用は、抗がん剤の投与開始から2〜3週間で発生すると言われています。
ただ、悲観的になる事はありません。
この脱毛状態はあくまでも抗がん剤の投与中に発生する症状で、治療を終えれば2〜3ヶ月で回復します。
とはいうものの、女性にとっては大きな問題となります。
その為、ガン患者用のウイッグを作る人もいるようです。
また、スカーフやバンダナを使って頭部を覆うケースも多く、治療中はそういったアイテムを使用して過ごすのが一般的です。
治療を終えて毛髪が生えてくると、その毛髪の性質が大きく変わっているという事があるそうです。
その場合、毛が柔らかく、細くなる事が多いようです。
抗がん剤を用いたガン治療として、完全に普及した多剤併用療法は、その中でもいくつかの種類に分ける事ができます。
その一つが「生化学的調節法」、通称「BCM」です。
BCMは、抗がん剤を投与する時に、薬の効果を変化させる別の薬を重ねて投与するという方法です。
つまり、性質の異なる複数の薬を同時、もしくは前後に投与し、それによって体内で起こる変化を利用して治療効果を上げるという手法なのです。
例えば、ある抗がん剤Aに関して、単体では抗腫瘍効果がないものとします。
ただ、抗がん剤Bがそこに加わると、抗腫瘍効果が現れる性質を持っているとしましょう。
この場合、通常だとあらかじめAとBを組み合わせてから投与するという方法を採ってもよさそうなものですが、そうすると投与した際に別の副作用が発生する可能性もあります。
もし実際にそういった状況が発生する危険がある場合は、まずあらかじめBを投与し、次にAを投与するなどの方法を用いる事になります。
こうすれば、抗腫瘍効果が体内で発揮されつつ、副作用も起こらないという安全な治療が行えます。
これが生化学的調節法のメリットです。
生化学的調節法は、人間の体内において抗がん剤の調整を行うという手法です。
その為、研究にはやはり時間がかかると思われますが、現時点において大腸ガンに非常に効果が高い事がわかっています。
大腸ガンの治療においては、BCMは標準的治療として重宝されているほどです。
今後は大腸ガンだけでなく、様々なガンに応用されていくかもしれません。
近年試されている抗がん剤治療の方法の一環として「極小量抗がん剤療法」という方法があります。
これは、抗がん剤の投与量をごく少量にするという治療方法です。
まだ普及はしていない方法ですが、成功例もあり、これから大きな発展が期待される治療法となっています。
極小量抗がん剤療法は、これまでの抗がん剤治療の常識を覆す手法です。
抗がん剤による治療は、副作用との戦いでもあり、その投与量には非常に気を使う必要があります。
ただ、ガン細胞を除去する事が叶わなければ投与する意味がない為、大前提としてガン細胞に届き、効果を及ぼす量を投与するというものがありました。
悪くとも、投与してひと月以内に腫瘍の縮小が期待できる量の投与というわけです。
ただ、これには2つ問題があります。
1つは、前述の通り副作用との戦いです。
そしてもう1つは、一時的な腫瘍の縮小は後にリバウンド現象を起こし、より腫瘍を大きくする要因になる可能性を秘めているという点です。
よって、抗がん剤を投与して実際に腫瘍が小さくなったからと言って、安心はできないというのがガン治療の難しいところなのです。
一方、極小量抗がん剤療法は、見た目には効果が出ていないように見えますが、実際には腫瘍が縮小を見せ、リバウンド現象も起こらず、副作用も最小限に抑えられるという良い事尽くめの方法です。
ただし、まだ成功例は多くなく、研究の段階と言えます。
本当の意味で、適切な投与量はどれくらいなのかを示すという意味では、今後のガン治療の発展はこの方法の確立にかかっているかもしれません。
抗がん剤を使用していく上で最も注意すべき点は、感染症やアレルギーといった二次被害です。
これらは抗がん剤の副作用によって、体内の粘膜等が著しく傷んだ場合によく発症します。
特に感染症は厄介で、抗がん剤が骨髄に悪影響を与えた場合に発症する事が多く、場合によっては身体に大きな損害を与える事になります。
感染症は、白血球の減少によって体内の抵抗力が低下した場合や、粘膜の機能低下でバリアの役割が果たされなくなった場合に発生します。
この感染症が原因で肺炎となり、それによって亡くなる患者も少なくありません。
ガン闘病中の感染症は、命の危険すらある非常に危険な病気なのです。
一方のアレルギーは、純粋に抗がん剤がアレルゲンとなるケースもあれば、抗がん剤によって体質が著しく変化し、それによってアレルギーが発生するというケースもあります。
前者の場合は抗がん剤投与を中断する必要があり、後者の場合は一刻も早いアレルゲンの特定が必要となります。
感染症の対策は、体内に細菌を侵入させないようにする事が一番重要です。
その為には、感染しにくいような環境を作る事を心がける必要があります。
手洗いやうがいを徹底し、排泄後の洗浄も心がけるようにしなくてはなりません。
ガーゼにも注意が必要です。
また、空気清浄機の利用などが推奨されています。
アレルギーの対処法は、抗がん剤の投与前の予防を心がける事が必要となります。
そこでステロイド剤等を注射して、抗ヒスタミン薬の服用を行うなどの処置が行われるのが一般的です。
また、副作用で粘膜が傷まないような抗がん剤を使用するという選択が可能な場合は、それを行う事になります。
肺がんや胃がんと比較すると、その数はそれほど多くはないのですが、予後が非常に悪く、ガンの中でもかなり厳しいと言われているのが食道がんです。
基本的に食道がんの場合は、腫瘍が食道という人間の身体において食事をする際に必要な部分にできている為、切除が絶対条件と言えます。
よって、治療は外科手術が中心となります。
主に内視鏡を使用した手術が現在のスタンダードです。
また、放射線治療もかなり前から行われており、現在では非常に効果的というデータも出ています。
食道がんの怖いところは、リンパ節へ転移する可能性が非常に高い点です。
リンパ節に転移してしまうと、一気に生存率が低下してしまいます。
その為、早期発見が必要なのですが、初期段階では無症状なので、なかなか難しいと言われています。
しかし、早期発見できれば、内視鏡治療によって完治できる可能性が高いガンです。
抗がん剤治療は手術後に行うのが一般的です。
使用する抗がん剤は、主にシスプラチンとフルオロウラシルの組み合わせです。
胃がんと同じく、この組み合わせの効果が高いと言われています。
副作用も少ない点が魅力ですね。
また、近年ではネダプラチンという抗がん剤が効果が高いというデータが出ています。
ネダプラチンは、シスプラチン以上に副作用を抑えられる事から、今後の抗がん剤治療においては主流となる可能性があります。
この他、ドセタキセルという抗がん剤の利用も近年では研究されています。
罹患数の多さでは肺や結腸と共に、ガンにおいて特に高いと言われている胃がん。
死亡数こそ肺がんの方が上回っているものの、日本においては患者の数では最も多いと言われています。
胃がんは、抗がん剤治療が比較的やりにくいガンでもあります。
というのも、胃がんは比較的抗がん剤が効きにくいガンなのです。
ただ、近年では胃がんに有効な抗がん剤やその組み合わせも増えてきています。
注目を集めているのは、テガフール・ギエラシル・オテラシルカリウムという組み合わせの抗がん剤「TS-1」です。
この組み合わせにより、従来胃がんに使用されていたフルオロウラシルの2.5倍もの奏効率を発揮したと言われています。
また、副作用が少ない点も大きな特徴です。
そして、飲み薬である事から外来治療においても有効という点が大きく、奏効率と副作用に加え、治療のしやすさという観点からも、この抗がん剤の有効性は認められています。
TS-1は単体でも効果が高い抗がん剤ですが、さらにその効果をアップさせる組み合わせも研究されています。
このTS-1と共に起用すると効果が上がると言われているのは、シスプラチン、イリノテカン、ドセタキセル等ですが、特にシスプラチンの効果は顕著で、非常に高い奏効率を記録しているという研究データもあります。
胃がんは、日本の食事の欧米化に伴い激増しており、今後も発症率の高いガンとしてあり続けると予想されます。
その中にあって、こういった抗がん剤の存在は非常に心強いといえます。
ガンの治療は、どの部位にガン細胞があるかによって大きく変わってきます。
抗がん剤治療、その副作用に関しても同様で、どの部位に腫瘍があるかで抗がん剤の効き目や身体に発生する副作用の種類や度合いはまるで別の病気のように違いが出てくるので、どの場所のガンかという事は治療法を決定する上で最も重要な要素と言えます。
肺がんの場合、まず非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けられます。
非小細胞肺がんの場合は、抗がん剤がやや効きにくく、手術による切開が一般的な治療法となります。
ただ、近年では複数の抗がん剤を併用して効果を発揮させる療法の確立もあって、抗がん剤による治療の有効性が認められてきています。
例を挙げると、パクリタキセルとカルボプラチンを組み合わせた「TC療法」、ドセタキセルとカルボプラチンの「DC療法」、イリノテカンとシスプラチンの「IP療法」等です。
また、副作用が強いゲフィチニブは女性限定で有効という事がわかるなど、肺がんの8割を占める非小細胞肺がんの治療法はかなり進んできています。
一方、小細胞肺がんの方は抗がん剤が効きやすいものの、非常に進行が早い点が特徴です。
その為、見つかった時には既に転移しているケースが多いようです。
基本的には抗がん剤による治療が中心で、「IP療法」をファーストチョイスにする事が多いようです。
肺ガンも多剤併用療法の確立によって飛躍的に存命率が向上しています。
今後もさらに助かるガンとなっていく可能性が高まることが期待されます。
ガン治療における中心的な存在である抗がん剤の大きな問題点は副作用です。
そして、その副作用の発生する大きな原因の一つに、そのあまりに強力な効果の為にガン細胞や腫瘍だけでなく正常な細胞をも傷付けるという諸刃の剣とも言える性質が挙げられます。
ただ、この問題点に対し、現代医学はいつまでも傍観しているわけではありません。
健常な細胞に対しての干渉をできるだけ抑えるよう、ガン細胞にだけ効率よく投与する方法も研究されています。
その方法の一環として研究が進められているのが、「DDS」という投与方法です。
このDDSは「ドラック・デリバリー・システム」の略で、その内容はというと、抗がん剤を高分子体によって覆い、投与してしばらくはそのままで運ばせ、ガン細胞の付近で中の抗がん剤を流出させるというものです。
イメージとしては、抗がん剤を泡で覆って、正常な細胞の血管を素通りするという感じです。
非常に理に適った方法ですが、問題はどうやって覆った高分子体を都合よくガン細胞の近くで抗がん剤を発揮させるかという事です。
ただ、これは既に解決しています。
ガン細胞は、肥大すると、正常な血管を利用して新たな血管を作り、それを自己の細胞に取り込むという性質があります。
新しくできた血管は、壁が薄く、その血管を通って運ばれる水分、高分子の栄養分は外へと染み出やすくなるという性質があります。
これは副作用の要因の一つにもなるので、一見するとマイナス要因なのですが、DDSではこの性質を利用して治療を行います。
高分子体で覆われた抗がん剤は、通常の血管はそのまま通り、ガン細胞によって作られた新しい血管に到達すると、その薄い壁を透過していきます。
血管の壁を透過した高分子体は、ガン細胞の近くまで到達し、そこで消去します。
そうすると、抗がん剤のみがガン細胞付近で浸透していくわけです。
これなら副作用は最小限で済みます。
まだ完全に確立はしていませんが、非常に期待されている治療方法の一つです。
薬を飲む場合、その量も重要ですが、飲む時間帯というのも大事で、それによって効果が変化する事があります。
というのも、人間の細胞というのは、分裂したり増殖したりするリズムが時間帯で異なるからです。
基本的に、人の細胞は午前中は活発で、午後から夕方にかけて緩やかに低調になり、夜から深夜にかけては最も沈静化します。
これが薬の効き目に大きな影響を与えるのです。
そして、この時間帯での薬の効果の変化は、抗がん剤であっても例外ではありません。
ただ、午前中に投与すれば良いというものでもありません。
副作用が起こりにくいように深夜帯に投与するケースもあります。
この時間帯を考慮した投与方法を「クロノテラピー」といいます。
日本語では「時間療法」と訳されるこの投与方法ですが、日本ではあまり馴染みはありません。
ただ、副作用が非常に強いガンに対しては、どの時間帯に抗がん剤を投与すべきかという検討がなされる事はあります。
とはいうものの、横浜市立大学医学部付属病院において大腸ガンの治療のためにクロノテラピーを活用した術前化学療法を行い、成果をあげたという報告もあり、少しずつですが具体的な実績も散見されるようになっています。
抗がん剤投与という治療方法は、副作用の程度によって使用する量が大きく変わります。
もし、副作用がかなり出てしまうようなら、ガンを完全に消滅させるだけの量の抗がん剤を投与するのは難しいでしょう。
ですが、こういったクロノテラピー等を上手く活用できれば、更に適切な治療が受けられるかもしれません。
抗がん剤の投与には点滴に代表される静脈注射が一般的ですが、血液への投与は即ち全身への投与と同義の為、どうしても正常な細胞にまでその効果が及んでしまいます。
抗がん剤はガン細胞にだけ効果を発揮する薬ではなく、正常な細胞にもダメージを与え、それが副作用という形で体調不良を引き起こす事にもつながっているのです。
また、血液内への投与の場合、どうしても代謝が発生したり、拡散されてしまったりして、抗がん剤の本来持つポテンシャルが完全に発揮されず、腫瘍の位置によっては濃度の高い抗がん剤が届かないというケースも出てきます。
正常な細胞にダメージを与える一方、肝心の治療すべき部分にはあまり作用しないという最悪の状況も起こり得るわけです。
そういった可能性がある場合、抗がん剤の投与方法を変えるのが一般的です。
そして、特に腫瘍の位置が静脈注射では届きそうにないというケースでは、腫瘍に直接投与するという方法を採ります。
これを「局所投与法」といいます。
局所投与法は、ある一定の位置に絞って抗がん剤を投与する方法です。
例えば、骨髄に腫瘍がある場合、骨髄注射で直接投与するという手段を用います。
非常に大きな痛みを伴う一方、効果は十分に期待できます。
また、局所投与法は副作用の軽減という目的で行われる事も視野に入れられています。
一定範囲のみしか抗がん剤が循環しない投与方法が研究され、実際に成果も出ているからです。
局所投与法には、動脈に注射する「動注化学療法」、骨盤内の内臓を治療する「閉鎖循環下骨盤内灌流化学療法」等があります。
放射線によるガンの治療は、多数ある治療方法の中でもメジャーなものの一つです。
この放射線化学療法は、抗がん剤治療と組み合わせて行われる治療です。
通常、抗がん剤は静脈注射や口からの内服によって投与され、血液を巡って全身にくまなく投与します。
これによって抗がん剤が広範囲に作用する事になり、なかなかレントゲンでも写らない細部のガン細胞にまで効く事が期待できます。
しかし、それによって厄介な問題点も出てきます。
健康な部分に対しても抗がん剤の威力が作用する為、正常な細胞にダメージが残るという点です。
副作用が発生する原因の一つでもあります。
一方、放射線化学療法の場合は、放射線を照射した箇所のみに作用します。
よって、正常な部分の細胞にダメージが残りません。
抗がん剤治療とは異なる面で有効性が指摘されています。
放射線治療の場合、悪性リンパ腫に対しての効果が高いと言われています。
ただし、広範囲にガン細胞が広がっている場合は、効果が出にくいとも言われています。
この場合はまず、抗がん剤を投与して全身のガン細胞を縮小させ、その後に放射線治療を行うという方法を採択します。
特に原発部分に関しては、放射線治療によって集中的にガン細胞の除去を目指します。
抗がん剤との組み合わせを行う事で効果的な治療が行える半面、副作用がより強く出るという問題点もありますが、こればかりは仕方がないと言えます。
放射線治療は食道がんや小細胞肺がんにも有効とされており、その治療範囲はかなり広く、標準的な治療として確立しているようです。
一つの病気に対し、一つの治療法しかない、という事は滅多にありません。
今の医学は様々なアプローチを一つの病気に対して試みるようになっており、それによって患者の個人差を克服しようとしています。
ガンに関してもそれは顕著で、ガンの治療方法に関しては非常に多くのアプローチが可能となっています。
そしてそれは抗がん剤投与という治療方法に限定した場合でも例外ではなく、投与方法にも複数の種類があります。
その一つが「多剤併用療法」です。
近年、一般的な投与方法となってきているこの多剤併用療法は、複数の抗がん剤を組み合わせ、より効果的に、より副作用を抑えた形で治療を行うというものです。
これによって、一種類の抗がん剤ではなかなか上手くいかなかったガンに対しても効果を発揮できるようになりました。
また、抗がん剤に対してガン細胞が耐性を持つと、一種の抗がん剤ではその後の効果が劇的に落ちますが、多剤併用療法ならばその危険も薄れます。
さらに、副作用が強すぎる薬も利用できるようになるなど、多くのメリットを生んでいるのです。
デメリットと言えば、コスト面で一種の抗がん剤よりは多くかかるというくらいで、これに関してもより効果的な治療の為の投資と考えれば当然の事なので、基本的には問題点はありません。
その為、既に抗がん剤投与における主流の形となっています。
また、抗がん剤とは別の治療薬を併用する形も試験されており、実際に効果が向上したという方法も確認されています。
実際に抗がん剤をガン患者に投与する方法はいくつもありますが、その中でも一般的な方法といわれているのが、内服と点滴です。
まず内服ですが、カプセル状の物と錠剤の物、あるいは飲み薬といった形状があります。
これらに関しては、市販されている風邪薬などと見た目には大きな差はありません。
当然、飲み方も同じです。
これらの内服薬は、病院での投与ではなく、自宅療養の際に使用する事がほとんどです。
その為、手術が終わって経過を見る状態の中で使用するケースが多いと思われます。
一方の点滴の場合は、主に静脈注射となります。
これも一般的な点滴と同じです。
ただ、ガンの場合は静脈に特定されるものではなく、種類や状態によって動脈、胸腔、腹腔、あるいは骨髄中に投与するケースもあります。
静脈注射の場合は、栄養失調などで病院へ行った際に打たれる点滴と見た目は変わりません。
腕の静脈にプラスチック製の針、カテーテルを挿入して点滴を行います。
痛みはほとんどありません。
点滴を受けている最中は全く苦痛はありませんが、行動の制限が生まれます。
ただ、点滴を受けていても、歩いて回る事は可能です。
トイレなどにも自力で行く事ができます。
ただ、できれば看護士などに付き添ってもらうほうが良いでしょう。
これらの抗がん剤は、副作用が発生するので、特に自宅療養の際には投与を拒む患者も多いと言われています。
内服薬の場合は自分で時間と量を調整して飲む事になるので、うっかり忘れるという事もあるようです。
ただ、副作用を恐れて飲まないという選択をする場合は、相応の覚悟も必要です。
あらゆるガンの治療に関して、病院側は患者に対して同意を求める必要があります。
その為、患者側は医師の説明をよく聞いて、その治療が適切かどうかを自分で判断しなくてはなりません。
この患者の同意の事を「インフォームド・コンセント」と言います。
インフォームド・コンセントは、抗がん剤治療によって生じる副作用、肉体的及び精神的負担、そして費用に関しての詳細な説明を聞いた上で、その治療を受けるか否かという判断を自分自身で行い、同意するというものです。
つまり、自分が受ける治療に対して、自分が責任の一端を担うという事になります。
このインフォームド・コンセントなしには、抗がん剤の投与もできません。
インフォームド・コンセントを行う上で必要なのは、綿密な確認です。
医師が薦めているからという理由だけで同意するのは適切な行動とはいえません。
ガンは、治療方法によって文字通り命運を分ける病気です。
そして、医師にも最善の治療法はわかっても、確実に治癒する治療法はわかりません。
自分で判断するしかないのです。
その為、治療の目的、根拠、効果、期間、治療によって生じる副作用、後遺症、費用、保険の有無、他の治療法といった事は最低限確認しておく必要があります。
また、もし医師の説明が不十分と感じたり、疑問に思う事があって同意が難しかったりした場合は、他の病院に行き、別の医師の意見を聞くという方法もあります。
これはいわゆる「セカンドオピニオン」ですね。
患者が持つ当然の権利なので、抗がん剤治療のようなリスクを伴う治療の場合には可能な限り利用するべきでしょう。
病気の種類や状況にもよりますが、抗がん剤というのは必ずしも効果が出る薬ではありません。
さらに個人差というのもあるので、同じ種類のガンであっても、同じ効果を発揮してくれる保証はありません。
副作用という怖いリスクがあり、お金もかなりかかる抗がん剤ですが、今の所はそれに見合う効果を確約しているわけではありません。
では、その中でどうやって抗がん剤の効果を見極めていくのでしょう。
実際に現在使用している抗がん剤に効果があるかどうかという判定は、1〜2ヶ月の間で行われます。
通常はひと月投与し、ガン細胞を検査して、減っているか、あるいは変わっていないのか、増えているのか、という状況の変化を見る事になります。
ガンの治療判定にはガイドラインがあり、そのガイドラインに沿って判定するのが一般的です。
もちろん、判定するのは医師ですが、医師の説明を理解する為にも、ガイドラインについて知っておいて損はありません。
基本的に、抗がん剤の効果の判定は標準的治療か非標準的治療かで分かれます。
標準的治療の場合、判定基準は主に4通りあります。
ガンの腫瘍が消失し、その状態が4週間以上継続された場合は、「CR(完全奏功)」と判断されます。
これはすなわち抜群の効果があり、ガンの腫瘍を取り除けた事を意味します。
次に、腫瘍の最長径の和が30%以上縮小した場合には、「PR(部分奏功)」という判定が下されます。
これは一定の効果があり、治療として継続すべきという判断になります。
上記の2つを満たさない場合は、「SD(安定)」とみなされ、治療の続行に関しては医師との相談が必要となります。
そして、抗がん剤を使用しているにも関わらず、腫瘍最長径の和が20%以上増加している場合は、「PD(進行)」とみなされます。
副作用のリスクを冒してまで使用しているのに悪化しているケースです。
ガンという病気は非常に厄介で、完全に治す事が極めて難しいとされています。
手術や抗がん剤で完璧に取り除いたと思っても、まだ残っていたり、他の場所に転移していたりするからです。
こういった事態は、どれだけの名医であっても起こり得ます。
また、ガン細胞の場所によっては、手術で取り除けないケースもあるなど、なかなか綺麗に取り除くのが難しい病気です。
抗がん剤もまた、完璧な治療法ではありません。
非常に強力な副作用があるにも関わらず、効果に関しては保証されないからです。
まず、ガンの種類によって効きやすいケースとそうでないケースに分かれます。
小児ガンや悪性リンパ腫、骨髄性白血病などの場合は、比較的効果が現れやすいと言われていますが、肝臓ガンや腎臓ガンなどの場合はほとんど効果がないと言われています。
よって、まず抗がん剤がどれほどの効果を期待できるガンなのかという事を医師から聞いておかなくてはなりません。
仮に効果が期待できるケースであっても、どこまでの効果が期待できるかというのは、憶測の域を出ません。
期待値として、パーセンテージや生存期間を告げられますが、それも確約されたものではありません。
副作用というリスクがある中で、ほとんど治療が期待できない抗がん剤を投与するというのは、推奨できる行為とは言い難いです。
ただ、こういった現実を踏まえた上で、自分は絶対に治すという強い意志がある場合は、投与する価値はあります。
治る確約がないという事は、逆に言えば絶望的状況でも絶対に治らない保証もない、という事です。
抗がん剤の効能は、人によって医師が驚くほど現れるケースもあります。
そのリスクとリターン、両方を十分に考える必要があるのです。
数あるガンの治療方法の中で、抗がん剤治療の目的は大きく分けると3つ存在します。
1つは、完全治癒。
ガン細胞を綺麗に取り除き、健康な身体を取り戻すというものです。
ガンは命を奪う病気ですから、当然ガンの治療は「生命の維持」につながります。
副作用という脅威はありますが、それに耐えれば完全に治る可能性もあるのです。
2つ目の目的は、延命です。
ガンという病気は、100%治る保証はありません。
そして、治癒しない場合はいずれは命を落とします。
状況によっては治癒が不可能な状況になり、患者の寿命が決まってしまうケースもあります。
そんな時、抗がん剤の投与は全くの無意味な行為になるかというと、そうとは限りません。
ガン細胞を極力減らす事で、進行スピードを遅らせる事ができます。
これによって、何も対策を施さない場合より長く生きる事ができるのです。
いずれ死ぬ運命でも、それまでの時間が長ければ長いほど、思い残しを減らせます。
また、大切な人と過ごす時間を増やす事もできますし、趣味に打ち込める時間を延長する事も可能です。
延命は決して無駄な事ではありません。
もう1つは、手術治療の補助です。
ガン治療において、手術はハイリスクハイリターンです。
ただ、もし手術でも取り除けない位置にある場合は、ノーチャンスとなります。
また、あまりにガン細胞が多いと、手術時間が延び、患者の体力が持たなくなります。
そこで、そういった場所のガン細胞を先に抗がん剤で治療し、手術に臨むという方法が採られます。
副作用との兼ね合いもありますが、よく採択される治療法の一つです。
自らがガンとなった場合、あるいは身内がガンに侵されたと発覚した場合、周囲の人々は大きな失望に包まれます。
ただ、絶望していても先には進めません。
進行度にもよりますが、ガンは治る病気です。
すぐに適切な治療方法を考え、それを実行しておく必要があります。
その中の一つとして多くの患者が選択する抗がん剤ですが、この治療法は効果が高く、即効性がある一方、非常に厳しい方法であると考えた方が良いでしょう。
通常、病気の治療を行う場合は、その病気を治すだけでなく、体調管理を第一に考えます。
例えば、少し強めの風邪に対する薬を処方する場合、その薬には少なからず副作用があります。
胃が荒れる可能性がある等というものですね。
その場合風邪薬と一緒に胃薬も処方され、複合して飲む事で副作用も緩和され、体調の悪化を防ぎます。
病気だけでなく、体調を健康に保つ事が最優先されるのです。
しかし、抗がん剤の場合はそれが叶いません。
副作用があまりに強力で、それを抑え込むのが難しいからです。
抗がん剤はその高い効能故に、非常に強力な副作用を有しています。
よって、抗がん剤では治療する場合には、非常に苦しい闘病生活を覚悟しなくてはならなくなるのです。
この場合、高齢の方はその壮絶なまでの副作用に耐えられないケースも多々あります。
副作用には、身が引き裂けそうな激痛や、正気を保つ事が困難な程の体調悪化というケースも想定されるのです。
これに耐えられなければ、継続的な治療はできません。
ガンという病気の恐ろしい点は、ここにあります。
全死亡件数の3件に1件がガンという、今やガン大国となった日本。
その中にあって、ガンの完全な治療法は未だ確立されていません。
ガンになった場合、多くの人が絶望し、死というものを見つめる事になります。
これは仕方ない事と割り切るしかないのかもしれません。
ガンは注意すれば未然に防げる病気ではなく、発症の可能性を下げる為にいくら健康的に生きていても、なる人はなってしまう病気です。
そんなガンに対する現時点での治療法は、複数存在しています。
その中の一つが抗がん剤の投与です。
抗がん剤は、ガン細胞を殺す薬であり、ガンを治療する確かな薬です。
ただ、全てのガンに効果があるわけではありませんし、全ての人に効果が保証されるものでもありません。
少なからず、運というものも作用する薬です。
また、副作用もあり、このリスクが非常に大きな障害となっている事も、投与の際には必ず知っておく必要があります。
抗がん剤の主な投与方法は、静脈注射、経口投与です。
直接投与するケースもありますが、あまり多くはありません。
基本的には点滴による投与となります。
抗がん剤が投与されると、ガン細胞の分裂の際に合成、複合といった細胞の動きを阻止し、そのまま細胞が死滅するのを待つという仕組みになっています。
細胞は不滅ではなく、常に死滅して生まれ変わっていくものなので、それを利用した治療法と言えます。
抗がん剤は、状況に応じて投与するか否かを決めなくてはなりません。
副作用をはじめ様々な障害はありますが、抗がん剤に命を救われた患者も大勢います。
その恩恵とリスクの両方をしっかりと見極める必要があります。